位置確認は、目の前の直接的な感覚と過去の経験の記憶が頭の中で結びつき、情報を解釈し、行動へと導くものです。矢印やシンボル、ナビゲーションの手がかりは、論理的な思考プロセスの手助けになる一方で、実際にその環境に身を置いた時の感情は、ナビゲーションをする際のモチベーションや感情レベルに作用します。
空間の中で自信を持って方向性を示すことは、論理的であるだけでなく、感情や動機付けにも依存しています。
その“場所”を体験し、読み解くことを通して、感情は記憶に強い影響を与えます。私たちがH.A.N.D.Sモールのために制作したロゴ(独特の連続した線画)は、モール全体に流れ、ブランドに命を吹き込み、人々の記憶に残る遊び心のある空間の“物語”を構築しています。ここでのウェイファインディングは、来場者の道案内をするだけでなく、その場所を記憶に残すためのものとなっています。
最初から最後まで、私たちは、リンク社、AGCの建築家、そのほか多くのコンサルタントとともにクリエイティブなパートナーシップを結び、H.A.N.D.Sモールの新しいアイデンティティを創造し、発信しています。見た目だけでなく機能的にも優れたソリューションを提供するために、広範囲にわたる現地視察を行い、モールの状況やユーザーを分析しました。
プレイスブランディングのプロジェクトでは、魅力的な空間体験を生み出すために、プロジェクトの初期段階ですべてのコンサルタントと関係者が共同で作業を行うというアプローチをとっています。初期の段階で協力することにより、ウェイファインディングはブランディング、広告、セキュリティなど様々な側面に渡り、建築との共生関係を築くことができます。この戦略により、ウェイファインディングは空間を記憶に残る“物語”に変えることができるのです。