2011年末、マーク&シャンタルは香港ジョッキークラブから、歴史的建造物である旧中央警察署跡地の再活性化プロジェクトのクリエイティブパートナーに選ばれました。私たちのチームは、オリジナリティのあるエクスペリエンスモデル、全体的なビジョン、ブランド戦略、ネーミング、ビジュアル・アイデンティティの構築を任されました。その後、私たちの担当範囲は拡大され、多層的なウェイファインディングの設計、施設内の全ての歴史的建造物に関する解説、全ての常設のストーリー環境と展示スペース、ビジターセンター、ショップといった、包括的なエクスペリエンスデザイン・プログラムの開発にまで及びました。
私たちのチームは、「大局を見失わない」という確固たる決意をもって6年間という長期プロジェクトをスタートさせました。ハイレベルでの戦略目標を設定し、全ての人が受け入れられる強力で統一されたビジョンを設計したいと考えていました。この点においては、初期の戦略段階で全会一致のコンセンサスが得られたため、この規模のプロジェクトに特有の複雑さを長期的に管理することが可能となりました。つまり、クリエイティブなプロセスのあらゆる場面で、コア・ミッションに立ち返ることができ、議論をサポートし、プロジェクトチームが社内外でのコミュニケーション・ニーズを満たせるようになりました。
建物の外観を文字要素に見立てた体系的配列表のようにデザインされたパターンです。これは、大館の村落的な雰囲気や、敷地内にある象徴的なレンガを遊び心いっぱいに表現しています。また、このパターンは、文化、言語、年齢の壁を越えた視覚的なストーリーとしても機能しています。このデザインは、おもちゃの積み木のように自由な発想で組み立てることを象徴的に表しています。つまり、大館は利用者自らがデザインし、訪れるたびに新しいイメージを作り出せる場所なのです。大館の販売戦略チームは、施設内ショップで販売する商品に対し、積極的にこのパターンをプリントすることにしました。
私たちは、オーディオ&ビデオ制作アーティスト、モデルメーカー、プロップアーティストといったクリエイティブたちと密接に協力しました。また、この施設内で描かれているストーリー性のある壁画は、地元香港のスケッチアーティストでもあるノーブル・ウォン氏とコラボしました。彼にスケッチを依頼した理由は、過度に洗練されすぎていないリアルな印象を与える彼のスケッチに惚れ込んだからです。
大館(タイクン)を訪れる人々にシームレスな体験を提供するため、当社のウェイファインディングチームとブランディングチームが連携しました。私たちは、この施設の品格に相応しい、そして様々な建築素材を引き立てるエレガントで控えめなデザイン言語を採用しました。
観光スポットの位置を示すトーテムを戦略的に配置し、建物の名前、その施設などにまつわる逸話、移動式サインなど、訪れた人々が通る遊歩道に沿って置かれた小さめの看板やサインと連動しています。